(『成しとげる力』永守重信)より抜粋
一九七三年に会社を創業したとき、たった三人の社員を前に一時間四十分にわたって、壮大なビジョンを語った。
二十年後に自社ビルを建て、三十年後には京都でいちばん高い本社ビルを建設する。
そして、五十年後には売上高一兆円をめざす、とぶち上げた。
「一億円の間違いじゃないですか」と問い返す者もいたが、目標はすべて実現した。
そして、七十五歳になって、新たに「五十年計画」を立てた。
五十年後の目標は売上高百兆円だ。
これまでは仕事一筋に打ち込んできたが、今後の経営は徐々に後進に任せようと思っている。
私自身は人材育成など社会に少しでも貢献できる分野に力を注いでいくつもりだ。
師と仰いでいる京セラの稲盛和夫さんも、いつの頃からか「心の美しさ」や「利他」ということをさかんに説かれるようになった。
当初は「厳しいビジネスの世界にあって、綺麗事なのではないか」と思って聞いていたが、最近は私も残りの人生をいかに世のために生きるかということを考えるようになってきた。
これまでに公益財団法人をつくってモータの研究・開発者を顕彰・助成したり、最先端のがん治療施設を京都府立医科大学に寄付するなどしてきた。
また、直近の問題として、高齢者医療にも何らかの形で助成をしていきたいと思っている。
とくに都市部ではない郊外や地方に住んでいる高齢者に対する医療はまだまだ脆弱で、これからいっそう加速する高齢社会への不安が高まる。
何歳であっても目標設置は大事ですね!!!