インドの僧・達磨が中国にやってきた時に、 慧可という青年が訪ねてきた。
「どうか私の心を落ち着かせてください」
達磨は、答えた。
「その不安な心をここに持ってきなさい。 落ち着かせてあげよう」
慧可は一晩懸命に考えたが、 翌朝になり、こう言うしかなかった。
「不安な心を探しましたが、 とらえることができませんでした」
達磨は言った。
「とらえることのできぬ心が君の心なのだ。 私はすでに君の心を落ち着かせてあげたよ」
自分の根本などというと、かえってわからなくなる。
この達磨と慧可の問答は、自分を変えるということについて核心的なことを教える。
つまり、根本とはどこか遠くにあるのではない。