今年読んだ本の中で1番感動した実話です

こんな人間が世の中に増えていったら、素晴らしい日本、素晴らしい世界になっていくのではないでしょうか?

本当に感動しました。

塩見志満子さんの実話

彼女には四人の子供がいたが、長男を小学二年生の時に白血病で亡くした。

末っ子の次男は健康で元気。

この子は大丈夫だと喜んでいた。

ところが、この次男が小学三年生になった時、

夏のプールの時間に、プールの底に沈んで亡くなってしまった。

近くの高校に勤めていた塩見さんに連絡が入り、大急ぎで駆けつけたが、次男はもう冷たくなっていた。

子供たちが寄ってきて

「ごめんよ、おばちゃん、ごめんよ」と口々に言う。

「どうしたんや」と聞くと、

十分の休み時間に誰かに背中を押されてコンクリートに頭を打ちつけ、

沈んでしまったと話してくれた。

「押したのは誰だ。犯人を見つけるまでは、学校も友達も絶対に許さんぞ」

という怒りが込み上げてきた。

新聞社やテレビ局が来て、大騒ぎになった時

同じく高校の教師だったご主人が、大泣きしながら塩見さんを裏の倉庫に連れていって言ったという。

以下、原文を記す。

《「これは辛く悲しいことや。だけど見方を変えてみろ。

犯人を見つけたら、その子の両親はこれから、過ちとはいえ自分の子は友達を殺してしまった、という罪を背負って生きてかないかん。

わしらは死んだ子をいつかは忘れることがあるけん、わしら二人が我慢しようや。

うちの子が心臓麻痺で死んだことにして、校医の先生に心臓麻痺で死んだという診断書さえ書いてもろうたら、学校も友達も許してやれるやないか。

そうしようや。そうしようや」

私はビックリしてしもうて、この人は何を言うんやろかと。

だけど、主人が何度も何度も何度も強くそう言うものだから、仕方がないと思いました。

それで許したんです。友達も学校も……。

こんな時、男性は強いと思いましたね。

でも、いま考えたらお父さんの言う通りでした。

争うてお金をもろうたり、裁判して勝ってそれが何になる……。

許してあげてよかったなぁ~と思うのは、命日の七月二日に墓前に花がない年が一年もないんです。

三十年も前の話なのに、毎年、友達が花を手向けてタワシで墓を磨いてくれている。

もし、私があの時学校を訴えていたら、お金はもらえても、こんな優しい人を育てることはできなかった。

そういう人が生活する町にはできなかった。

心からそう思います》

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