――「人間は必ず死ぬ。だからこそ、今日を一所懸命に生きる」
96歳になってもなお、毎朝会社に出社し、夕方まで経営の第一線に立ち続けている男がいる。
その名は、岩波弘介50年前に町田で会社を興し、数々の困難を乗り越えてきた。
今や「伝説の社長」と呼ばれる彼も、実は何度も、人生のどん底に立たされた一人だった。
終戦直後、焼け野原からのスタート。
家業の織物業は傾き、時代に置き去りにされる絶望を味わった。
収入は減り、家族の顔をまともに見られない日々。
「こんなはずじゃなかった」と、枕を濡らした夜も数えきれない。
会社を立ち上げた当初も、最初は一件の仕事もなかった。
――どこまで踏ん張れば、道が拓けるのか。
――あとどれだけ我慢すれば、光が見えるのか。
そんな問いに、誰も答えてはくれなかった。
だが、岩波さんは歩みを止めなかった。
「いつか、この苦労に意味があったと思える日が来る」
その信念だけを頼りに、生きた。
彼が掴んだ真実は、こうだ。
「人間は、いつ死ぬか分からない。だから今日を、命がけで生きるしかない」
赤字でも、資金が尽きても、社員に何も言えなくても、
「社長だけは、希望を語れ」と自分に言い聞かせた。
命の危機にも直面した。
動脈瘤が見つかり、「いつ破裂してもおかしくない」と告げられた。
だが、血管年齢は70歳の若さ。かつて心臓手術で助けられた病院が再び手術を引き受けてくれた。
「あなたはまだ、生きる使命がある」――そう言われた気がした。
彼の歩みは、偶然の幸運ではない。
苦しみに耐え、逃げず、努力を続けた者にだけ、人生は道を開く。
だからこそ、あなたに伝えたい。
今、会社が赤字でも、
資金繰りに追われていても、
社員が去っていっても、
自分を責め、家族に申し訳なく思っていても――
どうか、諦めないでほしい。
人生に赤字はあっても、信念まで赤字にしてはいけない。
「信じて進めば、道は必ず開ける」
それが、九十六歳の社長が命をかけて遺す言葉。
信とは、与えられるものではない。
正直、倹約、陰徳、誠実、そして人を思う心。
そうして積み重ねた姿が、やがて“信”となり、人に伝わる。
最後に、岩波さんが静かに語った一言を――
それを、今日も悩むあなたに贈ります。
「人は必ず死ぬ。だから、今日を、命がけで生きる。
それだけでいい。それが、生涯現役という生き方だ」
どうか、顔を上げてください。
あなたがこれまで、踏みしめてきた一歩一歩が、
誰かの希望になる日が、きっと来ます。
そしてそのとき、あなたもまた、
「まだ終わってなんかいなかった」
そう言って、涙を流すことでしょう


